医療法人 美﨑会 国分中央病院

Primary doctor’s Blog

2022.10.11

第4回 ゴーサイ先生、コレステロールについて教えてください。

みんな誰もがずっと健康で、病気や病院とは無縁が望ましいはず。そんな”病院いらず”の健康をどのようにつくるか?医療法人美﨑会・国分中央病院の理事長/藤﨑剛斎(ゴーサイ)が、一人の医師として本音で健康を語るブログ。元職員の株式会社シナプス代表/たけうちが聞き手として、お話をうかがいます。

※このブログはあくまで、ゴーサイ先生の個人的な意見と経験に基づき構成されるものです。個別の疾病や治療方法について、必ずしもその医学的な正確性や妥当性を保証するものではありません。

■コレステロールはよくない?

― 先生。コレステロールって、よく見聞きします。テレビとかでも「コレステロールが気になる方へ」などのキャッチコピーもあったり。太る原因のような悪いイメージですが、そもそもなんですかね?

ゴーサイ先生 コレステロールは確かに脂肪、体にある油の一種。コレステロールが原因で動脈硬化になって、心筋梗塞や狭心症や脳卒中とかの重い病気を引き起こすってイメージもあるけど、必ずしも悪いものじゃないよ。ヒトの細胞膜には必須のものだし、男性ホルモン・女性ホルモンの材料でもある。重要な油だね。さっき挙げた重い病気の原因になる油、脂肪としては、コレステロールよりは中性脂肪。

― 健康診断で血液検査を受けると、脂肪に関する測定項目がいくつかありますよね。なかなかよく分かりません。コレステロールも善玉とか悪玉とか言われたり。

ゴーサイ先生 一般には善玉はHDLコレステロール、悪玉はLDLコレステロールと言われてるよね。確かに昔はそうだったけど、最近はいろんな考え方も出ているよね。善玉悪玉って、きれいに分けられるか?とか。100%よくない脂肪とすれば、さっきも話した中性脂肪だね。血液検査でアルブミンというタンパク質も重視されるけど、経験的にコレステロールが高めのおじいちゃん、おばあちゃんはとてもお元気で、長生き!(ゴーサイ先生、パンッ!とひざを打つ。)おじいちゃん、おばあちゃんが入院される時、ぼくはコレステロールの数値を必ず見る。悪玉と言われるLDLコレステロールの数値が高めであっても、薬ですぐに下げるという判断はしないね。ただし、繰り返しになるけど中性脂肪が高いのは要注意!

■注意すべきは中性脂肪?

― 同じ脂肪でも、中性脂肪はよくない?

ゴーサイ先生 中性脂肪がまず血管の壁にひっついて、動脈硬化につながる。動脈硬化の原因はもちろんそれだけじゃなくて糖質とかもあるけどね。余分な血糖が中性脂肪に変わってとか、肥満につながるとか。動脈硬化という話では血糖値は重要。糖質の摂取による血糖値の急激な上昇、つまりブドウ糖スパイク。これで動脈の血管に傷がつき、この傷に中性脂肪が集まってくるイメージかな。

― 血糖値、また糖質の話に戻ってきましたね。血糖値の急激な変化とか。

ゴーサイ先生 血液検査で空腹時の血糖値を測るけど、このひとつの値だけでどう判断するかは難しい。この検査だけではスパイク、「血糖値の変化」はとらえられないからね。糖尿病診断基準で正常な範囲の血糖値である80であっても、食後のスパイク時には200近くに上がる…とか。これって糖尿病の心配はないんだろうか?と思うけど、今の空腹を前提とした血液検査では検査できない。スパイクという「血糖値の変化」が動脈硬化などにつながるという前提では、血糖値の絶対的な数字よりも、血糖値の変動の仕方が重要。なので極端な話、空腹時血糖値で糖尿病と判断される140の高さであっても、スパイクがおきなければ問題はないかもしれない。ヒトの体は、環境の変化に極めて強いストレスを感じるもの。だから血糖値も数値の高さそのものより、変動幅が小さいこと、変化しないということが、健康にとって重要な考え方だよね。