医療法人 美﨑会 国分中央病院

Primary doctor’s Blog

2023.7.17

第8回 ゴーサイ先生、糖尿病と糖質について、教えてください。

みんな誰もがずっと健康で、病気や病院とは無縁が望ましいはず。そんな”病院いらず”の健康をどのようにつくるか?医療法人美﨑会・国分中央病院の理事長/藤﨑剛斎(ゴーサイ)が、一人の医師として本音で健康を語るブログ。元職員の株式会社シナプス代表/たけうちが聞き手として、お話をうかがいます。

※このブログはあくまで、ゴーサイ先生の個人的な意見と経験に基づき構成されるものです。個別の疾病や治療方法について、必ずしもその医学的な正確性や妥当性を保証するものではありません。

■糖尿病の早期発見について

― ゴーサイ先生、最近自分の身の回りでも、糖尿病を患う人が増えている気がします。

ゴーサイ先生 糖尿病の方、まだもっと多いと思うよ、見つけられていないだけで。糖尿病の診断は、ある時点の血糖値で判断されることが多い。だけど大事なのは「変化」だと思う。HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)や血糖値は、ある時点の”点”の数値の評価ではなく、推移が重要。それが早期発見につながる。こんな患者さんがいたよ。空腹時血糖値を測ったら80mg/dl台で正常値。でもHbA1cの数値がちょっと気になったので、75gOGTT(75グラムオージーティーティー:ブドウ糖負荷試験のことで、ブドウ糖を摂取した後の血糖値を測ります。糖尿病の早期発見につながります。)を測ってみたら、やっぱり糖尿病パターンだった。反応性低血糖も起こしていた。こういう方は多いと思う。

― ご飯を食べた後に眠くなりますよね。ゴーサイ先生のお話だと、低血糖状態が眠気を引き起こしているということでしたっけ?

ゴーサイ先生 それが反応性低血糖ね。血糖値の急激な高低の変化で、まさにジェットコースター状態。食後に眠くなる人が多いということは、糖尿病に注意をしなければならない人が多いということでもある。年配の方だけじゃなくて、中高生・小学生でもいる。この原因は一つだけ、「炭水化物」。

― お腹がいっぱいになったから眠くなる、という訳じゃないんですよね?

ゴーサイ先生 眠くなるのは、満腹になるからじゃないよ。外食で◯◯ステーキに行って肉3キロ食べても、血糖値はびくともしない、急激に上がることはない。でも肉でもたくさん食べると血糖値が上がる…と勘違いされている方もいるよね。なんだろう、カロリー神話とでもいうのか。お昼ご飯で糖質であるお米を食べて、急激に血糖値が上がる、そこにインスリンが過剰に分泌されて血糖値が急激に下る、これが反応性低血糖。血糖値のジェットコースター。血糖値が大きく下がるので、眠くなったりだるさを感じたりする。このとき「3時のおやつ」でお菓子を食べると、また血糖値が上がって目が覚める…とかね。

■糖質の管理について

― この反応性低血糖とか、血糖値のジェットコースター状態とか、先天的なものですか?それとも後天的なものですか?

ゴーサイ先生 完全に後天的なもの。言えば、食生活。人類の歴史の中で、農耕が始まってからのことじゃないかな。稲作が始まってからとか。食事の中身の配慮が必要。「制限」という言葉は使いたくないけど、やっぱり糖質制限が重要。糖質を摂りながら薬やインスリン注射とか、あまり賛成できない。まずは糖質制限。人間の体は精密で正直だからね、糖質制限をするとすぐに良い反応が返ってくると思うよ。最近は糖質に配慮した食品も増えてきて、気軽に買えるようになってきた。価格面でちょっと割高なイメージがあるけど、自分の健康を考えたとき、長い目で見たらどうですか?という視点を持ちたい。

― 健康を害するのも嫌だし、病気になったときの治療代を考えれば、糖質制限食は安いものかもですね。

ゴーサイ先生 でも、そうは言ってもなかなか難しいと思う。子どもの頃から、親からも学校の先生からも「朝からしっかりご飯を食べよう。そうしないと頭が働かないよ。」とか言われてきているしね。これはなかなか覆せない。極論するともはや「糖質中毒」といってもいい。アルコール中毒とか薬物中毒とかは、社会的問題として認識もされていて、法律でも規制されているけど、糖質中毒なんて問題視されていないよね。まあ他人を傷つけることはないし。

― そうですねえ、中毒って表現が過激すぎる気も…。

ゴーサイ先生 でもね、糖質を接種するとドーパミンという神経伝達物質が分泌される。これは幸福感を増やす物質と言われていて、中毒性の元になるものとして知られている。なので糖質中毒という表現は、必ずしも過激過ぎると言うものでもないよ。