医療法人 美﨑会 国分中央病院

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「生きがい」を取り戻すお手伝いを
 ─ 下境田雄麻(リハビリテーション室課長代理)

 看護のやりがいや現在の取り組みについて、リハビリテーション室の下境田雄麻課長代理にお話を聞きました。

── 現在の職種内容を教えてください。

作業療法士です。リハビリの1つで患者様の状態や目的に合わせて適切な作業を選択し、身体機能・精神面の改善や社会復帰の手助けを行っております。

── 現在の職種を選んだ理由を教えてください。

中学生の時に初めてリハビリというものを知り、「スポーツに関わる仕事がしたい」と漠然と思ったのがきっかけでした。初めは理学療法士になりたいと思っていましたが、高校の時に病気をして主治医の先生に作業療法士というものを教えて頂き、もともと手作業や細かい作業が好きだったのもあり、「作業」が治療になるというところに魅力を感じ作業療法士という仕事を目指しました。

── 当院を選んだ理由を教えてください。

入職前に当院の見学をさせて頂いた際に、慢性期病院では高齢者が多く、治療後の退院が困難であったり、転院先がなく入院が長期化している方が多いと聞きました。ただ、入院期間が長いことで、患者様との距離が近く、一人一人とじっくりと関わることができるというところに魅力を感じ、入職を決めました。
また、リハビリ室の雰囲気の良さも入職の決め手の一つとなりました。

── 現職のやりがいを教えてください。

患者様の中には、「病気で何もできない、もう年だから何もしたくない」とふさぎこんでしまうケースもあります。その中で、さまざまな作業を通して身体機能の回復を努めると同時に、リハビリとして行う作業の中で、一つでも夢中になれるものが見つかり「生きがい」を取り戻すお手伝いができたときにとてもやりがいを感じています。

── 現在の取り組みについて教えてください。

作業療法分野では、特にPOCリハと園芸療法に力を入れて取り組んでいます。
POCリハとは、病棟で患者様が必要な時に排泄や食事、整容、入浴などのADLにリハビリとして介入する方法です。患者が必要としたときに介入するため、普段の訓練では「練習はしたくない」などの発言がみられ、リハビリにたいして消極的な患者様でも必要な時に介入することで訓練に対しての拒否なく介入が可能となります。
また、当院では体力づくりや机上活動等を好まない長期療養の患者様も多くみられますが、作業療法の一つとして園芸療法という活動を取り入れています。園芸療法とは、植物を育てることによって身体、精神、知能、社会的に良い効果をもたらしたり、損なわれた機能を回復することを目的として行われます。歩く、立ち上がるなどの基本動作だけでなく、耕す、水を撒く、草をとる、収穫するなどの数多くの動作を必要とするため、身体能力の維持向上に効果が期待できます。精神面においても、達成感や気分転換、思考・想像力の向上、記憶力の改善などの効果も期待できます。
そのため、当院ではキュウリやトマト、コスモス等、季節を感じることのできる野菜や花を植えています。患者様の中には普段静かな方が、野菜のことになると肥料や間引きの方法などを患者様が先生となって職員と積極的に活動を行う姿がみられます。当院では託児所を併設しており、収穫の際は子供たちと一緒に行うことで社会との関りを保てるようにしています。
このように園芸療法は長期療養の患者様には大切な活動の一つであり、作業療法の活動として積極的に取り組んでいます。

── 今後の目標についてお聞かせください。

現在、POCリハを地域包括ケア病棟のみで行っておりますが、今後は療養病棟でも行っていきたいと思います。また、「できる」「している」日常生活動作から退院後の生活で「する(ようになる)」日常生活動作へ患者様の意識を変えていけるようにしていきたいと考えております。